【GX志向型住宅】は、2024年度に実施された「子育てエコホーム支援事業」の後継事業であり、2025年度に「子育てグリーン住宅支援事業」として実施される‘‘全ての世帯‘‘を対象とした‘‘補助対象住宅‘‘となります。
今回hyggeのブログとして取り上げたく思います内容は、断熱等性能等級やUA値を満たしても一次エネルギー消費量削減率35%の要件をクリアできないことがあるということです。
弊社hyggeを設立する前の株式会社 渡辺工務店の実例から性能と削減率をいくつか見ていただき、これからの計画のお役に立てればと思っております。
同じくらいの坪数や性能であってもリビング(主たる居室)に連続する吹き抜けやリビング階段を設けると削減率に影響があるのか。(主たる居室が大きくなっていく)
そして、機器選定による削減率の違いや必要となる太陽光発電モジュール設置をするために屋根形状に工夫が必要になることなど触れていきます。
よろしければ最後まで読み進めていただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

出典:国土交通省 子育てグリーン住宅支援事業の概要
,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001855013.pdf,参照日2025.3.22
【GX志向型住宅】に求められる要件とは
①断熱等性能等級6以上 福島エリアは主にUA値0.46W/㎡・K(4地域)UA値0.34W/㎡・K(5地域)が必要となる
②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率35%以上(一次エネ消費量計算 BEI0.65以下)
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%以上(太陽光発電設置 ZEH)
④高度エネルギーマネジメントの導入(HEMS導入によるエネルギー消費の可視化、制御)
これら4つの要件を満たすことが必須となります。
これまでの【ZEH】
①断熱等性能等級5以上 福島エリアは主にUA値0.60W/㎡・K(4地域・5地域)が必要
②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率20%以上(一次エネ消費量計算 BEI0.80以下)
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%以上(GX志向型住宅も変わらず)
④高度エネルギーマネジメントの導入は問われていない
GX志向型住宅に比べるとUA値も一次エネルギー消費量の削減率もそこまで高い目標ではないことがわかります。
早速ですが、実例から性能別に比較をしていきます。
下記の性能値、近似値の住宅で再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率をご覧ください。
リビング・LDKは一次エネルギー消費量を計算するにあたり‘‘主たる居室‘‘となり、この部屋が大きくなると一次エネルギー消費量は大きくなり、また吹き抜けやリビング階段があることで2階ホールや玄関まわりなどに空間が連続すると、その連続した部屋も主たる居室として扱われます。
・UA値0.46W/㎡・K以下または近似値 5地域等級6の参考
ケース1 5地域 UA値0.48W/㎡・K 主たる居室の割合50% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率33%

ケース2 5地域 UA値0.38W/㎡・K 主たる居室の割合43% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率38%

参考ケース3 4地域 UA値0.45W/㎡・K 主たる居室の割合24% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率31%

参考ケース4 4地域 UA値0.37W/㎡・K 主たる居室の割合53% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率31%

参考ケース5 4地域 UA値0.36W/㎡・K 主たる居室の割合45% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率29%

参考ケース6 4地域 UA値0.36W/㎡・K 主たる居室の割合37% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率27%

住宅の「ZEH」「ゼロエネ相当」に関する表示についての一次エネルギー計算書をみますと、‘‘暖房設備‘‘と‘‘給湯設備‘‘の項目が大きな数字を持っています。
主たる居室が大きくなると暖房設備の数字が大きくなりますので、削減するためにはエアコンを高効率の製品にするなど建築コストにも影響があります。
エアコンにはエネルギー消費効率の区分が(い)(ろ)(は)の3つあり、最も効率が良いのは(い)、次いで(ろ)、(は)の順となっております。
(い)と(は)を比べた場合にどのくらいの違いが出るか計算書に反映してみます。

こちらが(い)のエアコンで冷暖房をした際の計算書です。再生可能エネルギーを除く削減率は47%

こちらが(は)のエアコンで冷暖房をした際の計算書です。再生可能エネルギーを除く削減率は45%となりました。
(い)と(は)の違いは2%という結果です。
エアコンはスタンダードなものと高機能なものでは価格差も倍以上になるかと思いますので、なるべく安価に押さえたいところ。こうした費用対効果も設計者やプランナーとよく検討したい部分になるかと思います。
次いでエネルギー消費の大きいのは‘‘給湯設備‘‘でしたので、こちらも製品を変えて比較してみます。
機器はエコキュートとして一般的なタイプ(効率3.3)と、ZEH対象の比較のためおひさまエコキュート(効率3.4+昼間沸き上げ)とします。

こちらがおひさまエコキュート(効率3.4+昼間沸き上げ)を選択、削減率は47%

こちらが一般的なエコキュート(効率3.3)を選択、削減率は46%、違いは1%でした。
あくまでも光熱費等の試算ではありませんので、削減率の違いとしてみてください。
実際のところZEH、GX志向型住宅を目指すスペックの住宅のみならず太陽光発電のある住宅ではおひさまエコキュートを選択するのは光熱費削減に有効な手段ですの積極的な採用をおすすめします。(余談ですが)
ここまでエアコンやエコキュートを変えてみることで1%、2%と削減率に差が出てきました。
簡単に比較できるものの最後としてキッチンや洗面、浴室の水栓を‘‘節湯‘‘のできるものにした場合の計算書を載せてみます。

まずは水栓の節湯を評価していない場合、削減率は47%

水栓を節湯にすることで削減率48%となりました。
また1%の削減率向上です。
こうして比較すると、1項目の見直しにつき1%~2%の削減ができることは分かります。
数%の削減率向上によってGX志向型住宅に該当する削減率35%の条件に届くのであればこうした検討によって確認していくのも良いかと思いますが、機器類のグレードアップは建築コストにすると安くはありませんのでコストとの費用対効果もみながら適切な選択をしていきたいところです。
ここからまたUA値や間取りに対する削減率の違いに戻りたいと思います。
・UA値0.34W/㎡・K以下または近似値 4地域等級6の参考
ケース7 4地域 UA値0.34W/㎡・K 主たる居室の割合50% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率26%

ケース8 4地域 UA値0.32W/㎡・K 主たる居室の割合36% 再生エネ除く一次エネルギー消費量削減率35%

4地域でUA値0.32W/㎡・Kと0.34W/㎡・Kを比較しても削減率に9%の差が出る場合があります。
プランを検討している段階で削減率29%から機器類の変更によって35%まで引き上げるのは容易ではなく、大きなコストアップも発生します。
これまでのZEHは削減率20%以上で適合であったためそこまでハードルの高いものではありませんでしたが、GX志向型住宅に該当するための35%は削減率を意識してプランから取り組む必要があると考えます。
プランの最終段階で計算するのではなく、早い段階から数字を見てコストとも相談しながら進めていくと安心です。
続いては「再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%以上‘‘ZEHにすることについて、屋根形状に対する影響です。

こちらは4地域 UA値0.32W/㎡・KのZEHの参考ケースです。
屋根を切妻屋根に、南面にモジュールを最大積載したところ削減量が100%に届かず、玄関上部の屋根にもモジュール追加、
ZEHするためには約6kWのモジュールを必要としました。

このように片流れ形状の屋根にすることで余裕をもってモジュールを設置することも考えられます。
外観デザインも左右することになりますので、削減率100%以上を達成するために必要な太陽光発電の検討・確認は後回しにしないことをオススメします。
申請や構造計算が進んでしまってからの修正は時間がかかるだけでなく、場合によっては手直しに数十万円のコストが掛かることも考えられますのでご注意ください。
【GX志向型住宅】は補助金も160万円と高額であり条件を満たしたいところであると思いますが、
断熱等性能等級6以上、一定以上の一次エネルギー消費量を削減するお住まいは社会的に価値のあるものであります。
省エネで快適な暮らしの実現はご要望として明確になってきているものの、どのくらいの性能を満たせば実現ができるものなのか不明瞭であった印象です。
適合の基準がしっかりと高いところに定められていることで条件が厳しく感じられるところもあるかもしれませんが、
省エネで快適を実現していくと考えた場合にはこのくらいの性能値や削減率は達成しなければと考えます。
環境のことや将来のことを思ってもこうした高い性能の住宅が増えた方が間違いなく良い方向に進みますので、補助金をいただきながら積極的に要件適合に向かっていただける方が増えますことを願います。
弊社hyggeでは基本仕様にて要件適合となりますので、もし気になられます点などございましたらご連絡・お問い合わせをお待ちしております。
ありがとうございました。
hygge~この家からはじまる かけがえのない暮らし~
代表 渡邊一紘