こんにちは!
7/22(土)
お施主様お立ち合いにて気密測定を実施させていただきました。
棟梁の小林さんをはじめとして、断熱気密施工の会縁くらふと野尻さん、電気屋さんも現場入りでサポートしていただきました。
測定を行って頂きましたのは山形県より加藤総業株式会社 山形営業所 所長 森谷さんです。
手際よい段取り、判断力、知識、技術ともに信用のおける森谷さんには測定の全てを安心してお願いすることができます。
さて、上にありますのが測定器の画像です。
αA、nからSまで様々な値が表示されております。
今回は各値の意味と、弊社が測定の際に値を見て確認しているところなどをご紹介してまいります。
弊社では減圧法のみで測定を行っております。
【通気量 圧力差】
画像の上の方に「通気量」として赤と青のシールが貼ってあるところからチューブが出ています。
「圧力差」黄色のところからもチューブが出ています。シールが貼られていないところにはチューブがありません。
赤と青のチューブの役割は空気の流量を測ります。
黄色のチューブは外に出しており、外の圧力(気圧)を測ります。
シールが貼られていないところは室内の圧力(気圧)を測っています。
測定時の気圧は1017hPaでした。
室内の空気を外にはきだして、室内と室外の圧力差をはかります。
そして同時にその風量をはかることで室内、建物全体の正確な隙間の大きさやC値を出します。
【外の風力】
測定前には外の風力を測らなければならず、測定の際は風速3m/s以下でなければならないという規定があります。
1分間風力計で測った風力の平均が3m/s以下であれば測定を行います。
圧力差を測っているので、外の風が強いと機械から吐き出している空気に対して逆流等の影響を与えてしまい正確な測定ができなくなります。※本現場の3回目の測定値がこの影響を受けた可能性あり。
【αA=15cm2】
αA=総相当隙間面積(隙間の合計)
室内外の圧力差9.8 Pa時の通気量から,隙間と等価の単純開口との有効面積を算出したものです。
本現場では15cm2となりましたので3cm×5cm程度の隙間となりました。
この数値を後にご紹介しますS(実質延床面積)で割ることによってC値を算出します。
本現場の場合15cm2÷117.36㎡=0.1278….となりC値=0.1㎠/㎡が結果となります。
hyggeではこの隙間をより少なく、その施工法によって性能を長く持続させて壁体内結露を防止する「防露壁体」をつくることを目的にしております。
気密性は時間経過とともに性能が落ちる可能性はあっても向上はしません。
そのため性能の持続はもとより、隙間を小さく、お客様にお約束する完成時のC値も小さい数値であることが望ましいです。
【n=1.19】
n=隙間特性値
n(1≦n≦2)となりますので表示される数値は1から2の間となります。
隙間の状態を表している数値であり、隙間が小さい場合は1に近づき,単純開口のように隙間が大きいと2に近づきます。
そのため前述のαAが小さいと判断されてもnが2に寄っている場合は気密処理の抜けが無いか、測定に際しての‘‘目張り‘‘に忘れが無いかなど確認をしてから再度測定を行っております。
たまにnが1~2の間に納まらない測定結果が出ることがあります。外の風が強くなったり、測定中に現場内で人が大きく移動したり、誤って掃除機やコンプレッサーを作動させてしまった場合などにn値の異常を経験しております。
n値が1に近く、尚且つαAも小さい結果が望ましいです。n値が1に近いことによって‘‘埋められる隙間はない‘‘と判断できます。
【Q9.8=22.4m3/h】
Q9.8=圧力差Δ9.8Pa時の通気量
上の画像が今回測定の結果で、圧力差9.8Pa時の通気量はグラフの外となりました。横軸9.8のところで圧力差が22.4m3/hとなったようです。
※この数値に係数bを掛けると総相当隙間面積(αA)が求められます。係数bの算出等につきまして式はあるのですが複雑なため割愛させていただきます。
【C=0.1㎠/㎡】
C=相当隙間面積
総相当隙間面積(αA)を外皮内の実質延べ床面積(S)で除したもの(割ったもの)。
今回の測定では床面積1㎡あたり0.1㎠の隙間となりました。
【S=117.36㎡】
S=実質延べ床面積
実質延べ床面積は、建物の内部に含まれる吹き抜けや小屋裏、基礎断熱の場合は床下などの気積の概略を2.6mで割って床面積に換算し、床面積に加えたものです。
床断熱か基礎断熱か、天井断熱か屋根断熱かによって実質延べ床面積は変わります。
床断熱または天井断熱の場合、階段または吹抜けの空間がある場合,上階の床高さを延長し,屋根下面から2.1 m以上の部分を仮想床面積として加算したり、50 cm以上の出窓はその部分の床面積を求めて加算します。
屋根断熱または基礎断熱の場合、小屋裏や床下に通じる出入り口(点検口など)があれば,これらの空間の気積を求め,仮想天井高を2.6 mとして(気積÷2.6)仮想床面積を算出します。
外皮内の気積から求める場合は、 外皮内の気積を求め、仮想天井高を2.6 mとして除して(気積÷2.6)実質延べ床面積S算出しますが、階間の天井ふところの気積(1階天井と2階床の間の空間)は除きます。hyggeの測定では1階床組み部分のふところ(土台下から1階床合板の下まで)も除き実質床面積Sを小さく(不利に)算出してC値を求めることとしています。
数値ですので見栄えも良くしたい気持ちもあります。しかし性能は劣化の可能性があるため、あえて不利側で自社基準を満たすこととしています。
詳細ご説明とまではいけませんが、気密測定について書かせていただきました。
改めましてhyggeの基本仕様はC値=0.3㎠/㎡以下です。
これからどのような形状の、どのような坪数の現場をお世話になっても変わりません。
いつも素晴らしい結果を残してくださる職人さん方に感謝申し上げます。
C値=0.3㎠/㎡以下であれば、気密によるデメリットを極力少なくできます。
何の想いもなければ、0.1以下を仕様にしたり測定不能や0.0を目指すこともあったかもしれません。
想いがあるからこそ基本仕様は0.3、そして現場では最大限の努力をいたします。
私たちが手掛けさせていただきますのは暮らすためのお住まいです。
以前のブログにて気密と同様に大切にしております通気についても書かせていただきました。
よろしければご覧になって頂けますと嬉しく思います。
~人生100年時代のお住まいのために~【屋根施工編】 | hygge (style-hygge.com)
こうして気密測定や気密のことを考えていますと、基礎面・壁面・屋根面をパックしていくイメージの防露壁体を考えた気密施工は、1つの型として長期的に性能低下や結露を防止する策として優れた施工方法です。
テープを極力使わない施工法、シート切り欠きを減らす施工法、各所専用の気密部材を用いた施工法など様々な考え方や想いがあると思います。
私たちは今後、防露壁体は変わらずに、基礎や木構造を工夫することによって更なる安全を実現していきたいと考えています。
C値は大きく変わらないかもしれない。それでも新築時のC値からの劣化が少なくなればより安心安全です。
素敵な暮らしを1つずつ増やしていけるよう邁進してまいります。
よろしくお願いいたします。
hygge~この家からはじまる かけがえのない暮らし~
代表 渡邊一紘