断熱性能

全棟、UA値=0.26[W/㎡・K]以下としています。
断熱性能は住まいに求められる様々な性能の基本となります。
快適な住環境を最小限の設備機器の稼働で実現し、エネルギー消費量を低減し住み続けられる環境を守る、
良質な住まいに求められる条件は断熱性能の向上からはじまります。

指標とされているUA値の省エネ基準適合値は5地域である福島市等で0.87[W/㎡・K]、
4地域である伊達市等で0.75[W/㎡・K]、ZEH適合基準で0.6[W/㎡・K]と定められています。

「hygge」がUA値=0.26[W/㎡・K]以下としたことにはいくつかの理由があります。

●ご家族が安心して住み続けられる住環境
地震等の天災による停電などが起こった際、空調なども稼働することができず熱源が人からの発生熱のみとなってしまうことが現実的に想定されます。
9℃以下の室温では低体温症のリスクが増大するとWHOからも喚起がされており、最も冷え込む朝方に9℃以上の自然室温を福島エリアで充分に満たすことを目指し、基本となる断熱性能をUA値=0.26[W/㎡・K]以下と設定しました。
断熱等性能等級においても性能等級6~7が設けられ、断熱性や省エネ性は公にその意義や価値が認められています。
また、各室間の温度差としても冷暖房室と非冷暖房室の温度差も設計上3℃以下が見込めるため、ヒートショック対策やひいては温度差が少ないことによる健康寿命の延伸にも繋がります。

●エネルギー使用量の少ない暮らし
令和2年、経済産業省より発表されている国内のエネルギー需給率は11・2%、多くのエネルギー資源を国外に頼っている現状があります。
電気料金も年間約3%の値上がりが続いてきており、その要因は石油や石炭、液化天然ガス(LNG)などの輸入価格高騰の影響で、燃料費調整額が値上げされているためです。
私たちの納める電力料金をはじめとするエネルギー使用料は、海を渡りエネルギー資源輸出国に納められていると捉えられます。
また、エネルギーを作る資源は枯渇性資源であり有限です。いつまでも使い続ける一方では、私たちの暮らしが持続しないものとなってしまいます。
住宅の一次エネルギー消費量の内訳のうち消費量の大きな項目は暖房エネルギーであり、断熱性能を向上させることで低減が可能です。
実質的な暖房に関わるコストとして、快適な室温を得るためのエアコンをはじめとする暖房器の台数も考えなくてはなりません。
各部屋1台エアコンを導入している住まいと1~2台で全館快適になる住まいでは導入~使用~買い替えで大きなコスト差が生まれ、導入時に50万円前後、それから約10年毎に50万円前後のコストがエアコン本体に掛かり、電気代も毎年数万円の違いが発生します。
エネルギー使用料が安くなっていくことや、需給率が大きく好転することが見込めない現状がある以上、エネルギー消費量の少ない住まいによってご家族や次世代を担う子供たちの未来や環境を守っていくしかありません。

「hygge」は‘‘断熱材‘‘にもこだわりを持って住まいづくりを行います。
‘‘自然素材の断熱材‘‘であることによって有害な物質が発生せず、素材そのものが持つ特徴を活かした調湿性や有害物質の吸着、吸音性や防露性などにより住環境の質を向上させることができます。
また、暮らしにおけるエネルギー消費量の低減だけではなく‘‘自然素材の断熱材‘‘(サステナブル素材)を用いることによって素材の調達から製造、運搬や将来的な廃棄処分に関わるエネルギー消費量も低減し、次世代が暮らす未来や環境課題に貢献することも大切であると考えています。

●羊毛断熱材『ウールブレス』
世界で綿羊として飼育されている羊の数は10億頭といわれており、ウールブレスはニュージーランドで育った綿羊からとれるウールが使用されています。ウールは土中に埋めると微生物によって分解され、やがては土に還り植物の養分となるため、ウールブレスは環境に負荷をかけることのないエコロジカルな断熱材です。
ウールブレスには優れた特徴があり、ポリエステル繊維の約40倍という高い調湿性により周囲の湿度を約40~60%に保ち、アレルギーの原因となるカビやダニが生息しにくい環境をつくります。調整された湿度により室内環境を快適にするだけではなく、壁体内結露を発生させない高い防露性によって建物も健康に保つことができます。高い吸音性によって生活音を吸音することもできるため、室内環境がさらに良質なものとなります。
また、製造過程にて接着剤や防腐剤を使用していないため有害物質を発散しないだけではなく、繊維内に有害物質や臭いの原因となる菌などを吸着することで空気を浄化する作用があります。純度の高い素材のため形状の変化や経年劣化が少なく、長期的に性能を維持することも可能です。
そして、ウールブレスは製品投入エネルギー量が少ない断熱材です。一つの建材を生産するために、原料の採集と調達、製造過程に必要な燃料、運搬を含めたエネルギー使用量のことを製品投入エネルギー量といいます。二酸化炭素の排出量を減らし、地球温暖化など環境課題に貢献できる断熱材です。
「hygge」では充填断熱材としてウールブレスを壁へ100mm、屋根へ370mm施工することによって、‘‘かけがえのない暮らし‘‘を包み込んでいます。

●木繊維断熱材『STEICO』(シュタイコ)
STEICOは針葉樹の端材が原料となります。
そのためイソシアネートを含む接着剤やホルムアルデヒドなど、防蟻処理も含めて有害な化学物質は一切使用していません。また、水や空気など環境に配慮した製造工程で管理され、梱包材に至るまで再利用可能な素材で作られています。シュタイコは、製品製造中の厳しい管理以外にも、第三者機関による原材料の継続的な管理下において、排出物がなく、危険性がないことが認定されています。信頼できる森林だけを産地とし、各種エコロジー認定を受けているオーガニックな断熱材です。

温暖湿潤な日本の気候条件で夏のオーバーヒートを防ぎ、快適な環境を創る断熱材として「未来の断熱材」と呼ばれているのがSTEICO(シュタイコ)です。
温暖化が進み、夏の気温はさらに高温となり冷房エネルギー消費量が増えてしまうことが懸念され、断熱には夏の暑さを防ぐことも求められるようになると考えます。
STEICOは非常に高い熱容量と低い熱伝導率を持つことから、夏の日差しによる熱を自らが蓄熱し、その熱を室内に伝えにくいという特徴があります。
従来の断熱材では冬の寒さを防ぐ熱伝導率の数値が重要視され、熱容量にはあまり注目されていませんでした。「熱容量=夏」と「熱伝導率=冬」を高いレベルで併せ持つ断熱材はなく、STEICOで初めて可能になりました。
また、高い透湿性で蒸し暑い夏や梅雨でも快適な空間を保つため、STEICOは日本の気候に見合った断熱材です。寒さと暑さに対応できる木繊維断熱材は、ドイツでは「未来の断熱材」と認められています。

「hygge」ではSTEICO60mm厚を屋根・壁の付加断熱材として使用します。透湿性や吸音性も高く、自然素材でありエコロジカルな断熱材である点など充填断熱材に用いている『ウールブレス』とも相性が良く互いの長所を活かす組み合わせとなり、季節を問わず心地よい‘‘かけがえのない暮らし‘‘を実現します。